栃木県宇都宮市の空間プロデューサーの日々報告
リノベーション事例見学です。
TOKI-WA-SOHという、かつて遊廓だった築年大正時代の建物をクリエイター向けのSOHOにリノベーションさせたものです。
出会いは出発直前に発売されたカーサ・ブルータス。
その強烈過ぎるといっていいほどの個性に惹かれ、見学希望の申し込みをしてしまいました。
数年後に迫った自分のシェアオフィス立ち上げの為、現在進行中のリノベーションプロジェクトの為、単純にオーナー岩田氏への個人的興味の為、様々な目的と純粋な好奇心を持って訪れました。
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<正面外観> <裏側オフィス入口>
立地は、繁華街である四条河原町から鴨川を少々下った辺り。この辺は喧噪から離れ落着いたエリアではあるんですが、高層マンションなんかも建ち始めているなかに昔の歓楽街の面影も若干残しつつ、といったように、バランスが崩れ始めているエリアです。その路地にあります。
外観は正面が丸窓にタイル張りと、洋風。玄関先のモザイクタイルの色合いが娯楽感アリです。
裏側が日本家屋。紅柄格子と枯れた土間が素敵です。ここはオフィス専用の入口ですが。
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<応接室の床の間> <応接室から坪庭を> <CAFEスペース>
まず案内されたのがこの部屋。応接室です。
いやいやいやいや、すごい。。。
李朝家具に金箔貼りの床の間。落し掛は黒塗+金塗。隣の床の間は紅色。床柱はトルネード。
ここは有料の共用スペース。1人でも、シェア仲間とでも、悪企みができそうです。
岩田氏のお話では、京の「侘び寂び」というよりも「バサラ」な感じに共感を覚える、とのこと。
だから利休よりも秀吉の聚楽第のイメージがむしろ落着くということでした。
分かる気がします。
利休は当時は最前衛の芸術家。秀吉はいち農民上がりの俗人。
その秀吉が好んだ「バサラ」感。
俗世的な欲とか体裁とかを脱ぎ去ってこそ、真の人と人との関係性ができる、という利休。
いやいや、四六時中「真」に迫っていたら疲れるっしょ。欲とか体裁に素直に従った方が気持ち良いじゃん、という秀吉。
確かに秀吉の考え方の方が、日常を生きていく中では楽な考え方です。
右は共用のカフェ。いやらしい感じですが、これは落着く。
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<講議所建具> <講議所> <入口タイル>
オフィス脇の箱階段(まずこれを持っていて、置く場所というか、相応しい空間が欲しかったのでこの物件をつくったらしい)を上ると講議所が。幕末の寺子屋みたいな感じ。実際に、政経塾のようなこともされているとか。隣にはシャワールームもあります。
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<トイレ手洗> <新規丸窓> <既存丸窓>
この手洗器、テレビのブラウン管の再利用です。
左の丸窓はカフェ部分。新規に設置。枠がモザイクタイルになっていて、反射感も堪りません。
右の丸窓は大正時のもの。モダン。
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<オフィス廊下> <オフィステナント例>
木の良いツヤのある階段を上り、6部屋あるオフィステナント部分へ。
廊下もなんとも渋い。
各扉を開けると、右のようなテナントスペースが。
無垢板の床に白壁のシンプルなオフィスです。
共用部分からすると拍子抜けのような気もしますが、ここの雰囲気は入居者にお任せということでしょう。家具、照明、壁の色などお好みに変えてしまえば良い訳です。
これらの造作、実はほぼ岩田氏が自らやったそうです。
家具や建具や照明はもちろん、金壁の床の間や水廻り、丸窓のガラス、坪庭の灯籠、トイレの新聞紙などは全て岩田氏がもともと持っていた物。
しかし氏はデザイナーではなく骨董屋さん。よくぞここまで。いや、デザイナーじゃないからこそここまで出来たんだろうと思います。
デザイナーの欲ではなく、個人的趣向の欲。これはある意味すがすがしい類のエゴです。
ここがどんな方々に借りられ、その方々がどのようにここで過ごし、仕事の質が変わっていき、どのような自然発生での絡みを見せてくれるか、非常に楽しみです。
僕の中でのリノベーション手法としては、振れ幅のかなり振り切った例です。
こういう方から見て、METで紹介しているような物件はどう見えるのだろうと思い、掲載雑誌を見てもらいました。
感想は「こんなもんしかないんだ、寂しいもんだ。」
京都の方にとっては、築80-100年物件は当たり前。その中から良い悪いの判断となります。
古いから悪いということもなく、逆に古いから凄い、ということもない。それはそれでいち物件。
ヨーロッパの都市もそうですが、常識のラインが栃木とは大きく違います。
少なくとも共通しているのは、物件自体の価値(資産価値)うんぬんよりも、
「それをいかに使うか」という利用価値や居住価値が最も重要視されている点です。
この点でならいち地方都市でも太刀打ちできる土俵だと実感しました。
TOKI-WA-SOHという、かつて遊廓だった築年大正時代の建物をクリエイター向けのSOHOにリノベーションさせたものです。
出会いは出発直前に発売されたカーサ・ブルータス。
その強烈過ぎるといっていいほどの個性に惹かれ、見学希望の申し込みをしてしまいました。
数年後に迫った自分のシェアオフィス立ち上げの為、現在進行中のリノベーションプロジェクトの為、単純にオーナー岩田氏への個人的興味の為、様々な目的と純粋な好奇心を持って訪れました。
<正面外観> <裏側オフィス入口>
立地は、繁華街である四条河原町から鴨川を少々下った辺り。この辺は喧噪から離れ落着いたエリアではあるんですが、高層マンションなんかも建ち始めているなかに昔の歓楽街の面影も若干残しつつ、といったように、バランスが崩れ始めているエリアです。その路地にあります。
外観は正面が丸窓にタイル張りと、洋風。玄関先のモザイクタイルの色合いが娯楽感アリです。
裏側が日本家屋。紅柄格子と枯れた土間が素敵です。ここはオフィス専用の入口ですが。
<応接室の床の間> <応接室から坪庭を> <CAFEスペース>
まず案内されたのがこの部屋。応接室です。
いやいやいやいや、すごい。。。
李朝家具に金箔貼りの床の間。落し掛は黒塗+金塗。隣の床の間は紅色。床柱はトルネード。
ここは有料の共用スペース。1人でも、シェア仲間とでも、悪企みができそうです。
岩田氏のお話では、京の「侘び寂び」というよりも「バサラ」な感じに共感を覚える、とのこと。
だから利休よりも秀吉の聚楽第のイメージがむしろ落着くということでした。
分かる気がします。
利休は当時は最前衛の芸術家。秀吉はいち農民上がりの俗人。
その秀吉が好んだ「バサラ」感。
俗世的な欲とか体裁とかを脱ぎ去ってこそ、真の人と人との関係性ができる、という利休。
いやいや、四六時中「真」に迫っていたら疲れるっしょ。欲とか体裁に素直に従った方が気持ち良いじゃん、という秀吉。
確かに秀吉の考え方の方が、日常を生きていく中では楽な考え方です。
右は共用のカフェ。いやらしい感じですが、これは落着く。
<講議所建具> <講議所> <入口タイル>
オフィス脇の箱階段(まずこれを持っていて、置く場所というか、相応しい空間が欲しかったのでこの物件をつくったらしい)を上ると講議所が。幕末の寺子屋みたいな感じ。実際に、政経塾のようなこともされているとか。隣にはシャワールームもあります。
<トイレ手洗> <新規丸窓> <既存丸窓>
この手洗器、テレビのブラウン管の再利用です。
左の丸窓はカフェ部分。新規に設置。枠がモザイクタイルになっていて、反射感も堪りません。
右の丸窓は大正時のもの。モダン。
<オフィス廊下> <オフィステナント例>
木の良いツヤのある階段を上り、6部屋あるオフィステナント部分へ。
廊下もなんとも渋い。
各扉を開けると、右のようなテナントスペースが。
無垢板の床に白壁のシンプルなオフィスです。
共用部分からすると拍子抜けのような気もしますが、ここの雰囲気は入居者にお任せということでしょう。家具、照明、壁の色などお好みに変えてしまえば良い訳です。
これらの造作、実はほぼ岩田氏が自らやったそうです。
家具や建具や照明はもちろん、金壁の床の間や水廻り、丸窓のガラス、坪庭の灯籠、トイレの新聞紙などは全て岩田氏がもともと持っていた物。
しかし氏はデザイナーではなく骨董屋さん。よくぞここまで。いや、デザイナーじゃないからこそここまで出来たんだろうと思います。
デザイナーの欲ではなく、個人的趣向の欲。これはある意味すがすがしい類のエゴです。
ここがどんな方々に借りられ、その方々がどのようにここで過ごし、仕事の質が変わっていき、どのような自然発生での絡みを見せてくれるか、非常に楽しみです。
僕の中でのリノベーション手法としては、振れ幅のかなり振り切った例です。
こういう方から見て、METで紹介しているような物件はどう見えるのだろうと思い、掲載雑誌を見てもらいました。
感想は「こんなもんしかないんだ、寂しいもんだ。」
京都の方にとっては、築80-100年物件は当たり前。その中から良い悪いの判断となります。
古いから悪いということもなく、逆に古いから凄い、ということもない。それはそれでいち物件。
ヨーロッパの都市もそうですが、常識のラインが栃木とは大きく違います。
少なくとも共通しているのは、物件自体の価値(資産価値)うんぬんよりも、
「それをいかに使うか」という利用価値や居住価値が最も重要視されている点です。
この点でならいち地方都市でも太刀打ちできる土俵だと実感しました。
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