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栃木県宇都宮市の空間プロデューサーの日々報告
昨日のTVで、五十嵐太郎氏が「景観」について話していました。
彼は東大出身の建築論者で現在東北大学助教授。
学生時代から仲間達と新興宗教建築やオタク空間についての第一人者でした。
近頃は「街」にも深く関わり、一般的露出も増えてきました。
この番組では鋭い提案をしているにも関わらず、なぜか棒読みでしたが。

途中から見たので流れはよくわからなかったのですが、
都で進めている日本橋計画の話題を取り上げていました。
要は、明治期の日本橋の景観が最高だから、首都高を外して親水空間を創ろう。
それでこそ世界に誇れる景観になる、というモノ。
うん、いいんじゃないか、
でも、なぜわざわざ壊してまで?そんなに首都高は悪いのかい?
と、この提案には賛成できないでいました。
「復元」ってなんだかヤダ。
それに首都高の景観は大好き。
大学入学時に上京して、新宿副都心よりも首都高に興奮したものです。
授業を休んでは、六本木等のJCTを
隣接するビルの非常階段からぼーっと眺めているのが好きでした。
大学4年次の課題ではまさにこの日本橋至近の「江戸橋JCT」を敷地に選んで
無謀な戦いを挑んだこともありました。
その好き、が確信に変わったのは学生時代。
映画「惑星ソラリス」(A.タルコフスキー,1972年)という近代SFの名作に出会ったことです。
現実か非現実かではなく、記憶のみの世界で脳内ドライブする風景、
その映像が、東京オリンピック直後の首都高です。これです、これ。
彼は外国人だけど、上京した僕も似たようなモン。驚いたでしょうね。
そして、「美しい」と感じてしまったとハズです。
ローマの水道橋、中国の万里の長城、エッフェル塔等々、
宗教建築や権力誇示以外の人工世界遺産はその時に求められ、果たすべき機能を
その時の最高水準でつくったモノが「美しい」とされています。
これって真理だと思います。
へたに「景観」というよくわからない偽善を気にして
妙に中途半端でコビたモノをつくっても、文化になりません。
そして目の前から消えてしまった「歴史」をムリヤリ「復元」し、
拠り所としても、只の見せ物。魂が抜けています。
問題は、「今」がどのように文化として歴史として残るのか。
でもそんなことを考えても途方に暮れちゃう。
でも今あるものを否定せず、認めて利用しちゃうこと。そして
今、真に求められ果たすべき機能をきちんとつくることはできる。
今は「醜」の対象になってるけど、
そんな論理でできた首都高は将来世界遺産になっても良いと思います。
じいちゃんはかっこいいけど、親父は格好わるい、と思うのは自然だけど、
又何年も経てばその親父もじいちゃんになるんです。
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